家族

急いで実家へ帰省すると…【8】

 

アキノ

「え?だって、

お客さまなんだから、

気を遣うのは当然でしょ?」

 

ヒロヤ

「お前な…姉ちゃんは他所の

お客さまじゃねーんだぞ。

久しぶりに帰ってきた

大切な家族なんだから、

もっと温かく迎えろよ」

 

私「…え?ちょっと、

何?この反応…」

 

突然の豹変ぶりに、言葉を失う。

 

コウスケも困惑した表情で、

黙って様子を見ている。

 

「ごめんなさいね。

アキノはまだ若くて、

分かってないの」

 

トウ子、気にするな。

さ、座れ座れ!」

 

ヒロヤ

「姉ちゃん、本当にごめん。

アイツの代わりに謝るよ」

 

アキノ

「なによ!

私が悪いみたいじゃない」

 

ヒロヤ

「うるせーな!

お前が悪いに決まってんだろ!」

 

家族の異様な雰囲気に、

頭の中が混乱していく。

本当に何なの、この状況…。

 

コウスケ

「あの、少し

落ち着きましょうよ。

せっかくの再会なんだし」

 

コウスケの冷静な一言で、

部屋の空気が少し和らいだ。

 

「そうだな。ほら、トウ子。

座りなよ。料理が冷めちまうぞ」

 

「あ、はい…」

 

戸惑いながらも席に着く。

テーブルには、想像以上に

色んな料理が並んでいる。

 

「ささ、食べて食べて。

あなたの好物も

たくさん作ったのよ」

 

「え?あ、ありがとう…」

 

でも、私の好物って

…10年前のままじゃない?