アキノ
「え?だって、
お客さまなんだから、
気を遣うのは当然でしょ?」
ヒロヤ
「お前な…姉ちゃんは他所の
お客さまじゃねーんだぞ。
久しぶりに帰ってきた
大切な家族なんだから、
もっと温かく迎えろよ」
私「…え?ちょっと、
何?この反応…」
突然の豹変ぶりに、言葉を失う。
コウスケも困惑した表情で、
黙って様子を見ている。
母
「ごめんなさいね。
アキノはまだ若くて、
分かってないの」
父
「トウ子、気にするな。
さ、座れ座れ!」
ヒロヤ
「姉ちゃん、本当にごめん。
アイツの代わりに謝るよ」
アキノ
「なによ!
私が悪いみたいじゃない」
ヒロヤ
「うるせーな!
お前が悪いに決まってんだろ!」
家族の異様な雰囲気に、
頭の中が混乱していく。
本当に何なの、この状況…。
コウスケ
「あの、少し
落ち着きましょうよ。
せっかくの再会なんだし」
コウスケの冷静な一言で、
部屋の空気が少し和らいだ。
父
「そうだな。ほら、トウ子。
座りなよ。料理が冷めちまうぞ」
私
「あ、はい…」
戸惑いながらも席に着く。
テーブルには、想像以上に
色んな料理が並んでいる。
母
「ささ、食べて食べて。
あなたの好物も
たくさん作ったのよ」
私
「え?あ、ありがとう…」
でも、私の好物って
…10年前のままじゃない?