モラハラ

病気が見つかり夫に見捨てられた私【7話】

 

私は、パパがナナちゃんが

手にしているプリンに

目を向けたのに気づき、

話題を変える。

 

「あ、そのプリン、

もしよければ

食べちゃってください。

私、明日手術で、今日はもう

水しか飲めないんですよね。

それなのに母が差し入れで

持ってきちゃったんで」

 

そういうとナナちゃんはパパに

嬉しそうにプリンを見せた。

 

恐縮して頭をさげる

パパに私も

「いえいえそんな」と

ペコペコしてしまった。

 

「じゃ、またね」

 

手を振って

ナナちゃんとパパを見送ると、

ナナちゃんは、

 

ナナ

「うん、またね!

しゅーつ、頑張ってね!」

 

と可愛く応援してくれた。

 

ナナちゃんのパパは私と

そう年齢が

変わらないように見えた。

若くして

男手ひとつで子育てか…。

 

私は自分1人が辛い現実と

立ち向かっている気に

なっていたけど、ただの

自己憐憫に過ぎなかった。

 

世の中同じように

辛い目に合ってもめげずに

いる人がいると思うと、

なぜか心が軽くなった。

 

病室に戻った私は、手術前にも

かかわらず、数日ぶりに

深い眠りに落ちていった。

 

翌日の手術は無事に成功。

服薬と定期的な検診は

必要だし、再発の可能性も

ゼロではないけれど、

考えうる限りでは

ベストな状況だった。

 

この上なく

嬉しい知らせだったが、

手術から3日後に、

さらに嬉しい

知らせがやってきた。