ジュンヤのことを
考えることも、
めっきり減った。
むしろ、彼との思い出が
遠い過去のように感じられる。
あの頃の私は
随分弱かったなぁ。
でも、あの経験が
今の私を作ってくれた。
皮肉だけど、感謝している(笑)
あれから1年が経った頃。
仕事で大きなプロジェクトを
任されることになり、
忙しい日々を送っていた。
ある日、重要な
プレゼンのために、
取引先との会食があった。
会話が弾み、
プレゼンも上手くいった。
ほっとして席を
立とうとした時…
ジュンヤ
「ぁ…っ。
キ、キヌ子…?」
その声に振り向くと、
そこにはジュンヤがいた。
以前の彼とは別人のように、
髪は乱れ、
目は落ちくぼんでいる。
ジュンヤ
「まさか、
ここで会うなんて…」
私
「ええ、私もびっくり」
ジュンヤ
「君、随分綺麗になったね。
幸せそうだ…
俺はさ…左遷されちゃって。
給料が大幅に
下がってさ…」
彼の声に疲れが
滲んでいるのが分かった。
ジュンヤ
「生活をなんとか
維持するために、
バイトを始めたんだ。
俺は本当に…」
私
「ごめんなさい、
急いでるの。じゃあね」
そう言って、
私は店を後にした。
外に出ると、胸がざわついた。
でも、それは昔のような
苦しさじゃない。
むしろ、自分の成長を
実感できた喜びだった。
その夜、サアヤに電話した。
サアヤ
「え!?ジュンヤに
会っちゃったの!?」
私
「うん。ちょっと
疲れてる感じだった。
なんか、生活苦しくて
バイトしてるみたいだよ。」