モラハラ

モラハラ夫の成れの果て…【15話】

 

「あなた…

ち、ちょっと話が

あるんだけど…」

 

「なんだ?」

 

「あの…ごめんなさい。

祖父の風邪が父に移って、

母がこっちに

来られそうにないの」

 

ヒュウガの表情が

曇るのが見えた。

 

「…は?風邪?

せっかくの機会だったのに

…ふざけんなよ!!」

 

「ごめっ…そうだよね。

本当に勿体ないよね」

 

私は少し間を置いてから、

慎重に続けた。

 

「それでね、

提案なんだけど。

私と息子は家で

留守番をしてるから、

あなたは誰かお友達を

誘って行ってくれる?」

 

最初は楽しみにしていた

ツナツナ邸がなしになるかもと

不機嫌そうだった夫も、

私の代わりに誰かを

誘ってほしいという提案に、

急に顔色を良くした。

 

「おう!いい代替案だな!」

 

「うん、せっかく

予約したんだもの。

無駄にしたくないし」

 

「そうと決まれば早速…

 

今からでも

行きたい奴はいると思う」

 

夫は急に元気になり、

スマートフォンを取り出した。

 

「悪いな、キヌ子w

お前たちだけで留守番させて」

 

「ううん、大丈夫よ」

 

「そうだ、お土産だけは

買てきてやるからなw」

 

一気に気を良くした夫は、

上機嫌でお土産の約束までして

出勤していった。

 

夫が家を出た後、

私はすぐに探偵のジロウさんに

連絡を取った。