浮気

私の夫に手を出すな【12】

 

「え?朝からカレー?」

 

「そう。私の愛情たっぷりの

カレーよ。さあ、食べて」

 

ケンジは少し戸惑いながらも、

黙々と食べ始めた。

 

その様子を見て、私は内心で

冷たい笑みを浮かべた。

 

お弁当を手渡す時、

私は意図的に甘い声で言った。

 

「今日のお弁当も特別なんだよ。

楽しみにしていてね」

 

「え?ああ…ありがとう」

 

夫の声には明らかな

戸惑いが混じっていた。

 

お弁当を開けた時の

ケンジの反応を想像して、

私は内心で冷たい満足感に浸った。

 

この毎日のカレー攻勢で、

ケンジの頭の中は

きっと私でいっぱいになる。

 

食事のたびに私のことを

考えざるを得なくなるし、

私の『愛情』から

逃げ出すことなんて

できないって分かるはず。

 

こうして、私はケンジの日常に、

さりげなく、でもしっかりと

根付いていくんだよ。

 

夜、ケンジの帰りを待ちながら、

張り切ってカレーを作った。

 

濃厚なルーと刺激的な

スパイスの香りが部屋中に

広がって、思わずニヤリ。

 

この香りを嗅ぐたびに、

ケンジへの愛が込み上げてくるの。

今日のカレーは特別だよ。

 

「どう?美味しい?」

 

「ああ…うん、

スパイシーだけど美味しいよ」

 

「よかった。あなたのために

一生懸命作ったんだよ。

これからも毎日作るね」