それから数週間が過ぎ、
弁護士を介しての
離婚協議が始まった。
予想以上に難航し、
感情的な対立も多かった。
慰謝料や財産分与の問題で、
イサムとミキは
なかなか譲歩しなかった。
2組の夫婦の離婚手続きが
同時進行で進む中、
書類の準備や相手方との交渉に
多くの時間を費やした。
仕事との両立も難しく、
精神的にも体力的にも
消耗する日々が続いた。
しかし、時間とともに
冷静さを取り戻し、
互いの将来を考えて円満な
決着を目指すようになった。
弁護士たちの尽力もあり、
少しずつ合意点が見えてきた。
離婚が正式に成立するまでには
予想以上の時間がかかったけど
その頃には不思議なことに、
イサムとミキの浮気の噂が
広く知れ渡っていた。
私たちの高校時代からの友人
同年代の知人たちの間で、
この一件が
密かに話題になっていた。
ある日、友人のアヤカと
カフェでランチをしていた時。
私は何気なく
素朴な疑問を口にした。
私
「どうしてみんな、
あの2人の浮気の話を
知ってるんだろう?」
アヤカは呆れたような表情で
私を見た。
アヤカ
「アンタ、相変わらず
天然だよね?
この前の披露宴で2次会を
パスするときに、
イサムとミキが浮気してるから
戻らなきゃ、って
自分で言ったんじゃない(笑)」
その言葉に、私はハッとした。
そうだ。
あの披露宴には高校の同級生が
何人も参加していて、
イサムも、ヒトシも、ミキの
ことも皆知っていたのだ。
私
「あっ!そうだったね(笑)
すっかり忘れてたよ」
アヤカ
「まぁ…
あの時、キヌ子は思わず
口走っちゃったんだろうけど…
でも、そのおかげで
みんなが味方になったから、
結果オーライだったね(笑)」
噂って意外と
早く広まるんだなと実感し、
これからは少し言葉に
気をつけようと心に留めた(笑)