モラハラ

病気がわかると捨てられた私【4話】

 

こっちは病人だから気遣え!

というつもりはない。

 

けれど、3年も家族として

過ごしてきた

相手に向ける言葉としては

あまりにも

冷酷ではないだろうか。

 

私は、震える声で

抗議するのが精一杯だった。

 

「で、でも、状況によっては

妊孕性温存手術もできるって、

お医者さんは仰っていて」

 

義母

「状況によっては、

でしょ?

結局お腹を開かないと

わからないじゃない。

 

それに卵巣がんって

ステージ1でも卵巣が両方とも

ダメになってる場合も

少なくないんでしょ?

転移の可能性だって

あるわけだし、手術した後

だって抗がん剤治療も

あるじゃないの!息子に

そこまで付き合わせる気?」

 

義父

「不確かすぎるし、

仮にもう片方の卵巣が無事でも

手術後いつになったら

子どもが持てる

かわからないじゃないか。

 

君も今年で30になるし、

タイムリミットが

すぐそこだって

知らないはずはないだろう」

 

私の弱弱しい抗議は

あっという間に

握りつぶされてしまった。

 

「ごちゃごちゃ

言ってないで、サッサと

書いてくれよ。

 

あ、俺の心配は

しなくていいからな。

お前みたいな

欠陥品じゃなくて、卵巣も

子宮も健康な

若い子が他にいるから」

 

義父

「随分準備が

いいじゃないか。

これなら

孫もすぐに抱けそうだ」

 

義母

「そういう良いお嬢さんが

いるなら、さっさと

報告しなさいよ~」