夫
「は…?俺たち…?え?
あれ?
…相性が良かったんじゃ?
お前も言ってたよな?」
シズク
「気づいて
なかったんだ。
レナさんがアンタと
話すときには
『相槌のさしすせそ』
ばっかり使ってたじゃん」
「相槌のさしすせそ」とは
「さすが」
「知らなかった」
「すごい」
「センスがいい」
「そうなんだ」や
それに類するものだ。
レナ
「ふふ。どんな気持ち?」
夫
「…ん?
どんな気持ちってなに?
どうした?」
レナ
「入れ込んだ相手から、
ポイ捨てされるのって
どんな気持ち?」
夫
「…何を言ってるんだ…?」
レナ
「私、ケイゾウと前に
付き合ってる時、
本当にあなたのことが
好きだったのよ。
それなのにあなた…
『他に気になる子が
出来たから、
お前とはもういいや』…
って一方的に
振ったでしょ。
私、アレを
根に持ってたのよね。
あ~スッキリ」
クスクスと
嬉しそうに笑うレナ。
若気の至りとはいえ、
薄情な夫の振舞いとレナの
執念深さに娘は1歩下がった。