キホの見た目は
確かに可愛らしいし、
お店の雰囲気にもマッチする
清楚な印象だ。
だけど、働くうちに
全く使えないことが私だけではなく
他の従業員にもわかっていった。
初めてのこと、
慣れていないことで
作業が遅かったり、
失敗をしてしまうことは
誰しもあることだ。
そこを責めているわけではない。
キホは清楚な見た目とは裏腹に、
仕事に対しての取り組みが
不真面目だった。
何度同じことを注意しても、
改善の余地が見られない。
夫の話によると
接客業のアルバイトは
初めてではないということで、
おかしいなと薄々思っていた。
キホの仕事ができないとなると、
他にも良さそうな
応募者がいたのになぜ?
と疑問に思う。
ぶっちゃけ、
夫が顔採用しただけの
話だったのだけれど。
キホは夫に気に入られていることに
気づいているようだった。
休憩でまかない料理を食べる時も、
キホ
「店長~!
ご一緒いいですかぁ?
店長の隣だと、賄いごはんも
一層美味しい気がしますぅ~」
と甘ったるい声で
夫の隣の席を確保。
夫は、
夫
「え?いいけど?
キホちゃん、おだて上手だなぁ」
と鼻の下を伸ばしている。