夫
「キヌ子さんは、
僕の理想のタイプです」
とか何とか、
親戚に食いついたらしい。
…嘘だぁ。
本気にしなかったけど、
周囲からは
友人A
「いいじゃん、
女は惚れられてナンボよ」
友人B
「彼のご実家って、
けっこう有名な
いいとこよね、
羨ましいなー」
お勧めだと言われた…
親戚も、下世話な勘繰りを
したくなるくらい、
頑張ってプッシュしてきた。
そういう流れで、
あれよあれよという間に
結婚へと
進んでしまったのだった。
結婚式やら何やら、
いっぱい訳が
分からない行事に
付き合わされた。
夫の実家は分家って話で、
それでも
かなり豪勢なおうちだ。
本家に至っては、
まるで御殿…
門から玄関まで、たっぷり
100mくらいありそう。
庭も広くて、
本格的な庭園だった。
私達は、新婚旅行前に、
本家でご挨拶を
する事になっていた。
招かれた当日、内心で
(嘘だぁ)
と叫んでしまった。