私はキヌ子。夫と共に40代。
ベテラン看護の域に
気づいたらなっていた。
MRの夫と出会い、
お互いの歳もあって
とんとん拍子で入籍。
義母が認知症だと夫に言われ、
義父や義姉のサポートだと
思っていたのに
夜勤明けだろうが
久しぶりの休日だろうが、
私の手が空いているという時は、
常に義実家に呼び出されて
義母の世話をされられた。
その間、義父や義姉は
ふらりと外出してしまう。
帰宅後には
義父
「いやぁ~、
キヌ子さんがいて助かった。
これ、お土産」
…と言って、
ちょっとしたお菓子を
渡してくることがあったが
口先だけのお礼など、
別に嬉しくもなんともなかった。
夫は夫で、
夫
「いつも元気だった母さんが、
弱っている姿を見るのは忍びない…」
などと、
体の良い言い訳をつけてくる。
義実家に私と同行してくれることなど、
一切なかった。
私は義母に対する、
義父と義姉の接し方にも
疑問を覚えていた。
義母は骨折以来、
足が不自由で動きが緩慢だし、
年相応に物忘れもある。
職場で高齢の患者さんと
毎日のように接している私からすると、
それは自然なことに思えた。
しかし、義母が
義姉や義父の思う通りに動かなかったり
ちょっとしたことを
うっかり忘れてしまうと
義姉
「もう!認知症の症状が
進んだんじゃないの!?」
義父
「ボケはどうしようもないな!」
などと、本当に酷い暴言を
義母に浴びせるのだ。
基本的に、私が義実家に滞在中は
義父も義姉も外出をしてしまう。