私はトウ子。もう15年も前の話。
現在45歳だから、当時は30歳。
当時は同い年の夫と
暮らしていて、
まだ子供はいなかった。
子なしで専業はさすがに
手持ち無沙汰だったので
パートに出ていた。
私は母子家庭の育ちで、
6歳年上の姉がいる。
姉はほっそりとした
儚げな美人で、
色黒でチョイポチャ気味の
私とは対照的。
小さい頃から外見で
姉と比較されてあれこれ
言われることには
慣れていたけれど、
母は私達を分け隔てなく
育ててくれた。
そんな大事な母も
私が独り立ちをすると
すぐに病気で他界していたため、
私の唯一の肉親が姉だ。
姉も既婚者で、飛行機を使うほど
距離が離れた場所に住んでいた。
なので、せいぜい年に
1~2回会えればいいほうだった。
そんな中、姉が
めでたく出産した。
私は報告を聞くと夫とともに
すぐに姉の家に向かった。
初めて会った姪っ子は、
義兄のたっての希望で
ヒナちゃんと名付けられた。
笑顔が明るくて
とても可愛らしい赤ちゃんで、
私はすぐにメロメロになった。
夫は夫で
「お義姉さんにそっくりだ!
これは将来とんでもない
別嬪さんになるな~」
と口ではヒナちゃんを
褒めているのに、目は姉を
ガン見していたことは今でも
鮮明な記憶として残っている。