何度も言うが、夫の収入は
義両親からの仕送りを
含めたとしても
さして多くはない。
生活費だって大半を
私が負担しているくらいなのだ。
ギャンブルに費やすお金など、
一体どこから
調達しているのか…。
怒りで脳味噌が
沸騰するかもしれないと
思っていたが、割と冷静に事態を
受け止めることができた私。
おそらく悪気が
ないであろう浮気相手には
申し訳ないが、夫を罠にハメる
計画を立てた。
計画実行の日。
あらかじめ同僚にシフト交代を
お願いしていた私は、夫に夜勤に
出かけるとウソをついて
家を出た。
例の喫茶店で時間を潰し、
20時半ごろに帰宅。
今日でカタをつけよう。
玄関前で深呼吸をし、
そっと家の鍵を開ける。
ビンゴだ。
女性物の靴がある。
ただ、前回と違って話し声は
聞こえてこない。
もしやと思い、忍び足で
寝室を覗き込むと
ベッドで寝ている夫と
女性の姿があった。
布団を被っていたので、
見苦しいものを見なくて
済んだのは不幸中の幸いだ。
私はそろりとキッチンに向かい、
夕飯の支度をすることにした。
ここからは気配は消さない。
全力で、全身全霊で
おもてなしするのだ。