モラハラ

余命半年と診断されたのは私だと勘違いした夫の末路【7】

 

「なんだよ、

風邪でもひいたのか?

俺に移ったらどうするんだ。

近寄るなよ」

 

 

「違うわ」

 

 

「じゃあ、なにか?

いよいよババァに

お迎えが来そうなのか?ふ~ん」

 

 

と、ニヤつきながら暴言を

吐く夫に早くも

私の堪忍袋の緒が切れた。

 

「お義母さんのことを

そんな風に言うのはやめて!」

 

 

「なにマジになってんだよ」

 

 

「お義母さんじゃないわ!

でも、あと半年なのよ?

私たちに残された時間は!

あと半年しかないのよ!」

 

半ば叫ぶように言うと、

夫の表情はみるみるうちに

変わっていった。

最初は驚き、次に喜び、

そして打算的な顔に。

 

 

「へぇ。あと半年か。

半年経てば、お前との腐れ縁も

切れるわけだ。

その辛気臭い顔も見なくて

済むわけだな。清々するわ~」

 

「そんな…。あなた、

よく平気でそんなことを」

 

 

「なんだ~?最期の時は

夫婦らしく過ごしたい、てか?」

 

 

「そうね。

そう思ってもらっても…」

 

「嫌なこった。

もういなくなるお前に

気を遣う必要なんてねぇんだ。

俺は俺のやりたいようにする」

 

 

ここまで来てようやく

私は気づいた。

夫の中で、

余命宣告をされたのは私

ということになっている。

しかし、ここまで馬鹿にされて、

訂正する気にはなれなかった。